Beginning of the end

答え聞けなかったな・・・

どう返事してくれるつもりだったのかな。

困ってなきゃいいけど。


でも・・・


俺にはやらなきゃならないことがある。


これは一時的な病気のようなものだ。

香港で次期当主として感情を抑え

かつての様に仕事に打ち込めばいい。

日本で過ごしたこの幸せな数年間は夢だったのだ。


そう、夢だ。


忘れてしまえばいい。



カードは集め終わって、次のプロローグへと。


終わりへの始まり・・・

そんな言葉が適当だろう。


空港行きのバスの中で

小狼は目を閉じて最愛のひとを思い浮かべ

その名を呟く。

「さくら・・・」


(叶うなら・・・もう一度会いたい)


「小狼君!」


?!


遠くから自分を呼ぶ声がする。

出発時間も告げてないのにさくらがここにいるわけがなかった。

バスの窓を開けて声がする方を見ると

さくらが桃矢のバイクから降りて走ってくる。


「さくら!」


「私・・・わかったよ、自分の気持ち!

私の一番は小狼君だよ!!」


目に涙をたくさんためて

さくらは徹夜で作ったピンクのくまのぬいぐるみを

小狼へ手渡した。


(俺はなんてことを考えていたんだ)


忘れられるわけがなかった。

こんなにもさくらを想っているのに。

こんなにもこの瞬間を待ち望んでいたのに。

小狼の心が一瞬で愛しいという気持ちで満たされ

さっきまでの冷酷な考えなど吹き飛んでいた。


「ありがとう・・・

このくま、さくらって名前にしていいか?」

「小狼君にもらったくまも小狼って名前にしていい?」


(ああ、なんて幸せなんだ)


はじめてさくらに出会った時から

たくさんの愛をもらった。

日本に来てすぐの俺は

自分のことしか考えてなかった。

自分の魔力を高めることしか考えてなかった。

さくらは、誰かのために一生懸命だったり

相手の立場で必死に物事を考えたり

いつも自分のことは後回しで

すごく優しくて

それでいて弱くて・・・頼りない。


守ってやりたい存在なのだ。


愛おしい存在なのだ。


今こそ自分が返す時。


「必ず帰ってくるから」


(さくらのために・・・)


小狼はこれから起こることに

立ち向かう決意をした。





月と星

カードキャプターさくらの小狼×さくらにハマって しゃおさく中心に小説を書いてます。 自分の満足で好きなように書いてますので 宜しくお願いします。 一応、下手なりに睡眠削って書いてますので 無断転載禁止でお願いいたします~

0コメント

  • 1000 / 1000