アイツの部屋

チェンジのカードを捕獲した時

俺はまだアイツに対して何とも思っていなかった。


ケルベロスと入れ替わってアイツの部屋に入ったが

ただ面倒でしかなかった。

知識もなしにクロウカードを集めていて

俺にとっては邪魔な存在だったし

何より、あの甘さが気に入らなかった。


早く元の身体に戻りたいと

そればかり考えていた。



でも今は違う。


この部屋でアイツが生活していると想像する。


この机で悩みながら勉強して

ここであの髪を梳かして

ここで服を着替えて


このベッドで・・・


今、ケルベロスの姿にチェンジできたら

秘密で見てみたいもの触ってみたいもの

色々気になって仕方がないだろう。

あの時のように

普通に一夜を過ごせるだろうか。


寝顔をみても

寝言を聞いても


正常でいられるだろうか・・・



触れたくてたまらなくなるだろう。


全てが愛おしくて

狂ってしまいそうになるだろう。




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下校中、知世とさくらの後ろを歩く小狼は

そんなことを考えていた。

知世が手を振って帰って行く。


小狼が思いに耽っていると

さくらの顔がひょこっと目の前にきていて

鼻が当たるくらいの距離に驚く。

「っ・・・!」

「小狼君?」

「ごめん・・・な、なんだ?」

「今日、お父さんもお兄ちゃんも遅いから

一緒にお夕飯どうかな?・・・って」

「ああ、大丈夫だ」

「知世ちゃんは習い事なんだって」

「そうか」

「・・・それからね、お願いがあるの」

「ん?」

さくらは頬をピンク色に染めて

もじもじしながら小狼に視線を送る。

「英語の宿題、教えてくれない?」

彼女から可愛く上目遣いで見つめられたら

当然のようにノックアウトされてしまう。

「・・・あ、ああ。俺でよかったら」

「ありがとう!」

早く早く!とさくらに手を引っ張られながら

さくらの家へ向かう。


再び、さくらの部屋に入る時が訪れ

先程まで考えていたことが戻ってきて

小狼の心臓が高鳴る。


密室で、愛おしい彼女が近くに居て

正常でなんかいられるわけがない。


これから起きることを想像してしまうから・・・

月と星

カードキャプターさくらの小狼×さくらにハマって しゃおさく中心に小説を書いてます。 自分の満足で好きなように書いてますので 宜しくお願いします。 一応、下手なりに睡眠削って書いてますので 無断転載禁止でお願いいたします~

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