奪われた唇

小狼はお姫様役なんかやりたくなかった。


(なんで俺がこんな役やらなきゃいけないんだ!

でも、あの人が見てくれるからやる。

早朝練習の日、王子が姫にキスするシーンで

アイツが本当にしてくると思わなかったから・・・)


サンドのカードに気が付くのに遅れを取ったのだ。


(劇なのに普通するか?!

アイツが純粋だからなのか。

それとも・・・?

顔色一つ変えずに自分の唇を近づけてくるなんて)


本番当日

小狼は練習での出来事があったからか

ものすごく緊張していた。


(今日はあの人も見ているからしてこないだろう)


でも、もしかしたら・・・という期待があった。

小狼は、興味津々で片目をあけ

リップが塗られた唇が近づいてくるその瞬間を

ゆっくりと待った。

今度こそ味わうために・・・


?!

(クロウカードの気配だ!)


「気を付けろ!これはダー・・・」

さくらに伝わる前に小狼は闇に飲み込まれる。

正体に気が付かなければ特殊カードは封印できない。


(待つしかない。

アイツが気が付かなければこのままだ。

少し味わえないのは残念な・・・

!!

俺は何を考えているんだ!

アイツに期待しているのか?)


と考えていると

パッと元の世界に戻る。


「ヤッター!」とさくらが小狼に抱きついてくる。

小狼はそれに驚き、顔が真っ赤になった。

自分の心臓の音がさくらに伝わってしまうと思い

必死に隠そうとする。


(一体、俺のことをどう思っているのか?

まさか何も考えてない??)


純粋すぎるさくらの行動に、小狼は深いため息をついた。




月と星

カードキャプターさくらの小狼×さくらにハマって しゃおさく中心に小説を書いてます。 自分の満足で好きなように書いてますので 宜しくお願いします。 一応、下手なりに睡眠削って書いてますので 無断転載禁止でお願いいたします~

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